潮風とともに
その上からざっくりとしたTシャツにショートパンツを履いて美穂が待つリビングに戻った。
「おまたせ。ごめんね!」
わたしが言うと、美穂は、全然!といってテレビを消した。
「着替えとタオル、メイクポーチにカメラ。
忘れ物はないよね。」
美穂が聞いてくれたので、頭のなかで準備したものを思い浮かべて頷いた。
二人で部屋をでると、ホテルのレストランに向かった。
ここはフロントがある建物にも客室があり、プライベートビーチにそってコテージが、並んでいる作りになっている。
大きな建物に入ると
「おはようございます!」
と、大きな声で挨拶をされて、話に夢中になっていた私たちは思わず肩をビクつかせてしまった。
「おはようございます、、、」
私たちは愛想笑いを浮かべて返事をすると、またレストランに向かって歩みをすすめた。
ふとフロントの方へ目をやると、にこやかに立つ弘人さんがいて、美穂が小さく手を降っていたので、
私は会釈をした。
その横から痛い視線を感じて目をやると、
ハッキリとした顔立ちの、いかにも沖縄美人という女性に睨まれていることに気がついた。
私なのか美穂なのか……
どちらへのものか分からないけど、
相当な憎しみの篭った視線に居たたまれなくなったけれど、私は何故だか目を逸らしてはいけないような気がして、
彼女の目をじっと見つめた。