潮風とともに
そんなことを考えていると、レストランについていて、
昨日と同じボーイさんに席を案内された。
さっそく好きなものを取って、美穂と喋りながら食べていると、
美穂が私の背後に目をやった。
不思議に思っていると、肩に手をぽんっと置かれて振り向くと波瑠が立っていた。
「波瑠、どうしたの?」
私が見上げて聞くと、ムスッとした顔をして、
手をずいっと前にやってきて、握られている袋を私に押し付けた。
中を見るとラッシュガードが入っていて、首をかしげてもう一度波瑠を見上げると、
「バナナボートするとき、それ着て。
瑠碧、今着てるTシャツでするつもりかもしれないけど、服は重くなって危ない。
……それに、そのTシャツもこの位置からだと見えてる。」
そう、波瑠に言われて胸元に目をやると、じゃあとそっけなく言って波瑠は立ち去っていった。
視線に気付いて目をやると、美穂がニヤニヤしていた。
「まぁまぁ、波瑠くんのツンデレ具合には脱帽だねー。
よかったじゃんそれ。有りがたく使いなよ。
わざわざ買ってきたんじゃない?」
よく見てみるとタグは取られているけど、真新しい。
ショップの袋がホテルに入っている所のものだった。
私は波瑠の気持ちが嬉しくて袋を抱き締めた。
「はぁー……その笑顔にみんなやられるんだよね。
あの無愛想な波瑠くんでさえ、悩殺舜刹。
波瑠くんが溺れるのも頷けるよ。。。」
美穂がため息混じりにいった。