潮風とともに
朝食をゆっくり食べていると、手が空いたのか弘人さんともう一人似たような顔をした男性が、歩いてきた。
「美穂、食べ終わった??」
「うん、まだ時間あるからコーヒー飲んでた。」
そう美穂が返すと、隣にいた男性が一歩前に出てきた。
「美穂、紹介するね。俺弟の真人。
ちなみに波瑠と同い年で幼友達というか、腐れ縁というか……だから瑠碧ちゃんも覚えてあげてね?」
そう紹介されて、私は慌てて立ち上がって会釈をした。
美穂も同じように立ち上がり、挨拶をしたので、
私も名前だけ挨拶した。
「瑠碧ちゃんって君の事か。兄貴から波瑠が初恋に堕ちてベタぼれのデレデレって言ってた。」
私はそれを聞いて恥ずかしくなって、思わず弘人さんをジト目で見てしまった。
「ん?間違った事は言っていないよ。
それにしても、波瑠から瑠碧ちゃんはフラをしてるって聞いていたけど。
今朝のビーチでのフラダンスすごく綺麗だったよ。
真人とたまたま歩いていて見たんだけどね。
綺麗すぎてこいつなんてぽーっとしてたよ。」
そう言うと意地悪に正人さんを見やった。
「あれは誰でも見惚れるだろ!!変なこと言うなよ。俺波瑠に殺されたくない!あいつキレたら手がつけられないんだから……」
正人さんが慌てているのを見て、美穂と二人で笑ってしまった。
「確かに、瑠碧のフラダンスは見惚れるのも分かるよ。同姓の私でさえも魅了されるし。短大生の時に初めて見たけど、女神かと思ったくらい。」