潮風とともに
「もしもし??瑠碧??ごめん、仕事やった?」
「ううん。。美穂、もしかして剛から連絡がいったの?」
私の思ったよりも冷たい声に、美穂が息を飲んだ。
「剛からさっき連絡きて……
あいつ泣いててよく分からんくてさ。
今、家にいてる?
今から行くから!!」
そう言うと美穂は電話を切った。
しばらくしてチャイムが鳴った。
画面に写る美穂の険しい顔に苦笑いをしながら、
玄関に向かった。
鍵を開けると、私がドアを開けるより先にドアが開いて思わず前のめりになってしまった。
「美穂……。なんか、迷惑かけてごめんね。」
私は玄関に入ってきた美穂に開口一番謝った。
「それはいいよ。剛がらみなら、、、
ていうか、別れたって聞いたのに泣いてないことに驚いてるんやけど。」
美穂は本当に驚いたのか、呆れたような顔をしていた。
「瑠碧、とりあえず上がるよ。」
そういって、美穂はパンプスを脱いで歩き出した
ソファーに座ると、買ってきてくれたのか、ローテーブルの上に置かれた袋からチューハイやビールが並べられた。
はい。と私の好きなチューハイが手渡されて、
お互いにプルタブをあけて一口飲んだ。
「それで?どうゆうこと。」
美穂が少し眉間にシワを寄せて言った。
「剛に何て聞いたの。」
「あいつ電話で泣いてて、別れたとしか聞き取れなくてさ。ラチがあかないから瑠碧の所にきたわけ。」
そう言って、心配そうに見やった。
「今日から剛の部屋に泊まりに行く事になってたんだよね。
明日結婚式の打ち合わせもあったし、明後日から1週間沖縄だったし。珍しく仕事早く終わったから部屋に行ったら他の女とセックスしてた。」
「……………………は?」
目を見開いた美穂の顔が驚きの余り固まった。
「……え?なんで。。。だってこの間プロポーズされて、親にも挨拶に行ったばっかりやん。」