潮風とともに
「剛が浮気した時点で気持ちは冷めてるし、
話し合いの時の態度で、7年が無駄だったって思う位に覚めてる。
でもあの時、剛のご両親は手も膝も震わせて頭下げてたんだよね。おばさんなんてずっと泣いてたのか目が腫れてて、私の顔を見てもすっと涙流してたんだよ。」
あの時の事を思い出して、また怒りに心が震える。
「それなのに、それを簡単に話した剛にも、笑って話した万里江にも憤りを感じてる。
でも、、、ただ単にプライドを後輩に傷つけられた事が気にくわないだけなのかもしれない。」
私はそっちの方が大きいのだと思った。
もう未練なんてちっともないのは言い切れる。
だとしても、たくさんの人を巻き込んで迷惑をかけたのだから、それなりのことはしてもらわないといけない。
「プライドね……それはあるかもね。でも当たり前じゃない?全く知らない相手なら違ったかもしれないけどさ、自分の職場の後輩なんでしょ?
慰謝料ぶんどってやりなよ。」
ゆかりさんがニヤリと笑った。
「そうですよ!そんな根性の腐った女なんて、むしりとってやればいいんです!!!
人を不幸にした人なんて、幸せにはなれないっ。
瑠碧さんには、お兄ちゃんとの幸せしか待っていませんからね!!!」
二人が励ましてくれて、私は心が温かくなった。
波瑠と繋がる人たちは本当いい人ばかりで、私はそれだけ波瑠に人望があるのだと思った。