潮風とともに
過去なんて関係ない。
みんなが出てきたのを確認して、鍵を閉めるとヤスくんが待っている駐車場にむかい、
迎えに来てくれた車に乗り込んで、
居酒屋に向かった。
こんなに大人数が集まると騒がしくなる。
「瑠碧、今日なに買ったの?」
「バッグとコスメ買ったよ。20%引きくらいだっから、かなり安くてかえたよ!
波瑠は?今日はスキューバしたの?」
「今日は、予約あったけど真人がやったから、俺は受付だけ。」
そんなこともあるのか……
私たちはお互いの仕事のことも何も分からないから、
これからたくさん知っていくのが楽しみだな。
「あ、波瑠、ラッシュガードありがと。
助かったよ?かなり振り落とされたから、あれ着てなかってら危なかった。」
私が波瑠を見上げると、
何故か急に不機嫌な顔になっていて、
ドキリとした。
「何回も振り落とされたの?」
「っえ!んー、いや、そんなにっかな?」
私は慌てて誤魔化したけど、
波瑠には通用しなかったみたいで……
「おい悟。」
あまりに低い声で呼び掛けるから、みんなが何事かと振り替える。
「おまえ、今日のバナナボート。何度も振り落としたって???」
ニヤリと笑いながら言うから余計に恐い。