火曜日に、天使
まあいいです、天使で。
「“火曜日に”ですか?」
「まあそうです。言い直しができないんで、智明はしまった、という顔をしていましたが……あ、お構い無く」
そういいながらも僕は出されたお茶を一気に飲み干し、ついでに銀色の缶に入った高級そうなクッキーに手を伸ばした。
「あの、あなたは天使ですか?」
不安げな顔をした女性が僕の顔を覗きこむ。
「近いですが違います。僕の仕事は下界で言うと、郵便屋さんみたいなものです。まあよく天使と間違われるんでね……いいですよ、天使で」
「……はぁ」
女性はむりやり納得したように頷いた。
僕は今、先程の男性――安田智明(28)の妻である奈津子(27)の家に来ている。
彼の最期の一言、
『火曜日に』を伝えるために。
「まあそうです。言い直しができないんで、智明はしまった、という顔をしていましたが……あ、お構い無く」
そういいながらも僕は出されたお茶を一気に飲み干し、ついでに銀色の缶に入った高級そうなクッキーに手を伸ばした。
「あの、あなたは天使ですか?」
不安げな顔をした女性が僕の顔を覗きこむ。
「近いですが違います。僕の仕事は下界で言うと、郵便屋さんみたいなものです。まあよく天使と間違われるんでね……いいですよ、天使で」
「……はぁ」
女性はむりやり納得したように頷いた。
僕は今、先程の男性――安田智明(28)の妻である奈津子(27)の家に来ている。
彼の最期の一言、
『火曜日に』を伝えるために。