火曜日に、天使
一ヶ月前から急変した優しい夫かぁ……

「何かあったんですかね?人間関係のもつれとか、妙な宗教団体に騙されて新しい自分に目覚めたとか」

奈津子は唸りながら当時を思い出しているようだ。

「少なくとも、家庭内では何もなかったと……職場のことはよく分かりませんが」

語尾が段々と小さくなった。

「では、奈津子にとって智明の変化は本当に急なことだったと」

「はい……それまでの夫は家事も育児もよく手伝ってくれたし、同僚や部下をうちに連れて来ては楽しそうにしていました……人間関係で悩むなんて」

「じゃあ、宗教「あ!」

急に大きな声を出した奈津子に驚いて、僕はクッキーのかすを喉に詰まらせてしまった。

「大丈夫ですか?!」

「ゲホッ…おかまいなく」

僕が涙目でそう言うと奈津子は心配そうに僕の背中をさすりながら頷いた。
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