ホスト恋
ベンチに座って、空を見上げていると隣に誰かが座ったのが見えた。
「帰ったよ」
蓮の声だ。
隣に蓮がいる…
って思うだけで、何でこんな落ち着くの?
昨日、初めて会った人に…心を開きそうになっている自分。
馬鹿な女だな。
蓮にとっては、客の一人…
「好き」何て感情は1ミリもないのに…そう思うと、寂しさに襲われる。
『蓮、ありがとう』
「何で?」
『ここまで連れてきてくれてありがとう。1人じゃ来れなかった。』
「いいえ」
『今日も仕事でしょ?』
「うん」
『そろそろ帰らないと遅刻しちゃうよ。気を付けて帰ってね』
「病室戻ろう」
そう蓮に言われて…
私は屋上を後にして、祖母が寝ている病室に戻った。