見えそうで見えない君
「由比、一回ホテルいこうか」

「え?ホテル?」

不思議そうに聞き直す由比に男は、おいでと手を差し伸べてくる。

「あ、うん」

と、由比は男の手を握る。
やっぱり優しい手だと改めて思う。

車に乗せられ向かう先は由比の一番大好きなホテル。
エントランスで男は荷物と由比を下ろす。

「車停めたらすぐいくから」

と由比の頭を軽く撫でる。


頭を撫でられ由比は素直に喜んだ。

いつの間にか用意されていた荷物。
でも見覚えのあるキャリーケース。

考えても仕方ないと一日中抱っこしていたぬいぐるみに顔をう埋める。

ふわふわで暖かくて気持ちいい…。
ついつい、うとうとしていると遠くから由比を呼ぶ声がする。


その声はさっきまで一緒に居た男ではなく聞きなれてる声。
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