見えそうで見えない君
現実
「由比!由比!」

段々と近くに感じる。
それが、煩くて目を覚ますと、母の姿があった。

「お母さん…?」

「由比が目を覚ましたわ!あなた先生を呼んで!!」

さっきまでの幸せな空気と違い、ただならぬ空気。



「あなた、赤信号なのに飛び込んで轢かれたのよ。頭を強打して意識が戻らないかもって先生が」

泣きじゃくる母。
視界に点滴が映る。

窓を見るともう日が沈んでいた。


『あぁ、死ねなかったのか。』

泣きじゃくる母の前で口に出せず心の中で呟く。
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