見えそうで見えない君
先生が来ると明日、また検査することになった。


母は意識が戻ったことを喜んでいた。
父は顔に4針縫うはめになった傷、骨折、頭部を打撲したことを心配していた。

話によると3日間、眠ったままだったらしい。


由比にとっては永遠に眠ってしまっても良かった。


さっきまでの幸せは夢だったのかと思うと醒めないままの方が幸せだったのかもしれない。



目覚めたばかりだが直ぐに眠気に襲われる。



「ごめん、まだ眠いから寝るね」


「何言ってるの。今起きたばかりなのに。寝たらもう覚めないかもしれないのに」

母の顔が青ざめる。
3日間、目覚めなかった恐怖心からだろう。

「大丈夫だよ」
と母を宥める父の姿を見て申し訳ないと思うが眠気には勝てない。



『もしかしたら…』

淡い期待と共に目を閉じる。
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