見えそうで見えない君
案内された部屋は一面夢の世界。
物語の中にいる気分。

「どう?気に入ってくれた?」

不安気に尚輝と言う名の男が聞いてくる。
声だけで、やはり顔が解らない。

「すっごい気に入った‼やっぱりこのホテルが一番好き」

ぬいぐるみごとベッドにダイブする。

案内係と男がクスクス笑っているのが恥ずかしかった。
案内係が退室すると

「ホント子供みたい」

と男はまだクスクス笑ってる。

「ごめん」

前の彼氏なら怒られていた。

「可愛い」

と男が頭を撫でてくれる。
子供扱いが歯痒い。
今更だが、この男は彼氏なのだろうか?
由比の中で疑問が湧いた。
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