ただ、愛してる。
「はい、出来た」

「さんきゅ」


ズキッと痛む心。
早くこの場所から逃げたい。

中津さんが、私の知らない顔を見せてるんだろうなって思えば思うほど、何だか悲しくなってくる。


「あーあ、完全に出るタイミング失っちゃった」


多恵子に遅れるって連絡しなきゃ。
でも、今はそれどころじゃないっていうか…

中津さんのこと好きだって自覚した途端、今度は嫉妬にまみれて、私ってこんな女だっけ?


「…っ」


私だけがあの時から振り回されてるのが悔しくて、こんなこと呟いても仕方ないのに。


「中津さんのバーカ」


ポソッと呟いて、私は膝を抱え込むようにしゃがみ込んだ。
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