ただ、愛してる。
「堅苦しいんだよな、中津さん。なんつーか、ピシッとしてるっていうか、鋼みたいだよな」

「鋼って…こんなの聞かれたらまた怒られるよ」


鋼ねぇ…

まぁ私も最初は説教ばかりで何この人って思ってたけど、実際は全然違ったんだよね。


堅苦しいのは、仕事を真面目にしてるからって本人も言ってたし。


「アイツ、絶対彼女とか居なさそう」

「そういう夏樹も居ないじゃん」


彼女…

そう言えば、今日中津さんと話してた人は彼女じゃ…ないよ、ね?

それにしても、仲良さげな感じもしたけど…


「…っ」


ズキッと心が痛む。

やっぱり気になるな…

中津さんって、結構仲のいい女の人多いのかな?


「まぁあんな仕事人間には、彼女なんて一生出来ねぇな」

「さっきから上からもの言ってるけど、夏樹も居ないからね?よっぽど悔しかったんだね。中津さんに叱られたこと」

「うるせー。こういうのは叱られた奴じゃないと分かんないんだよ。なぁ?佐奈」

< 19 / 35 >

この作品をシェア

pagetop