ただ、愛してる。
「ありがとうございます」
ボソッと呟きながら、飴を口の中へ放り込むんで舌で転がす。
そしてすぐに、こめかみ辺りがキューッとした。
「すっぱ!!」
何これ。
何これ。
あまりにも衝撃的な味に、手を口へ当てる。
すると隣から「ククッ」と笑いを堪えてるような声が聞こえて、思わずジロッと中津さんを見た。
「か、顔!外さないねぇ、ぷ。あははは!」
「…………中津さんっ!」
「いやぁ、本当笑かしてくれるよな」
「騙したんですか!?」
私の寝不足に気づいて、優しさで飴をくれたんだと思ったのにー!
グッと悔しさを堪える。
まんまと中津さんの罠にハマるなんて、中津さんのペースに流されてる証拠だ。
「騙すも何も、さっき言ったことは本当だけど?だから酸っぱい飴をやったんだろ」
「何で、こんな酸っぱい飴なんか」
もう飴を吐き出したい!
そんな気持ちを押さえながら、涙目で中津さんの返事を待つ。
「だから、眠気覚まし。俺も食ってんだよ。それだと寝れねぇだろ」
「だからって…」
こんな酸っぱい飴を人に渡す!?
私のリアクションに満足したのか、中津さんは頬杖をつきながら私へと視線を向けてきた。