ただ、愛してる。
ポンッと何かを投げられた気がして、下を見ると…

「!」

私の脚の上に飴が1つ乗っていて、すぐさま隣を見た。

そこにはシーッと訴えているのか、左手の人差し指を一瞬口に当てた中津さんが居て。


私は飴を手に取って、ギュッと握りしめた。

どうして…

私、また酷い態度を取ったのに、どうしてそんなに優しくしてくれるの…?


ゆっくりと手を開くと、小さな飴はさっき貰った飴と違った包装で。

イチゴ模様が描かれていた。


イチゴ模様ってことは、イチゴ味?

ちゃんとした飴をくれる優しさにまたドキドキとして、胸がきゅっとする。


中津さんは、ずるい。

私がどれだけ悩んでいても、そんなのお構い無しに私の心へと入ってくる。


中津さんを『諦める』という決心をさせてくれない。


「…っ」


どんどん好きにさせていくんだ。
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