ただ、愛してる。
「ただいま!」

「おかえ…え?お姉ちゃん、何その顔!?」

「何でもないっ」


パタンッと部屋の扉を閉めて、ベッドへダイブすると、枕へと顔を埋める。

そしてハッとした。


「あ、ハンカチ…」


返すのを忘れてしまった…


「しかも枕も汚して…」


はぁ…
今日はとことんついてない。

涙で流れたマスカラとメイクで汚れた枕カバーを外しながら、ふと思い出す。

そう言えば妹の真奈が私の顔がどうしたとか言ってたっけ。

きっと今の私の顔は、大変なことになってるんだろうな。


「……」


お風呂入ろ。
それから洗濯しなくちゃ…

私は着替えと枕カバー、そしてハンカチを持って浴室へ向かった。


今日のことは忘れよう。

そう思ったのに、私は翌日マヌケな顔を晒すことになる。
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