ただ、愛してる。
「あ、そう言えば夏樹が佐奈と私と3人で飲みに行こって。今日、行けそう?」

「ああ、うん。多分行けるはず」

「なら良かった」


夏樹も私の同僚で、よく多恵子と3人で飲みに行く仲だ。

確か夏樹は、営業部だよね。
中津さんのこと知ってるのかな…

って何中津さんのこと気にしてんの、私!


こういう時は仕事仕事!!

集中するのよ、佐奈。
こんな誤字を出すなんて普段の私なら有り得ないんだから!


カチカチと打ちながらパソコンの画面と睨めっこして、誤字をすぐに修正した。

印刷をクリックして、資料を再度中津さんへと提出。


「出来ました」

「ああ、分かった」


そっちがその態度なら、私は忘れてやる!


「あと、これを」


スッと中津さんのデスクに置いたのは、あの時に借りた青いハンカチ。


「ありがとうございました」


一方的にそれだけを伝えて、私は自分のデスクへと戻った。
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