舞い散る桃蝶



顔を上げてその人の顔を見ると
彼奴らとは違う優しそうな面もちだった。



?「すぐに解いてあげるからね」



その人は私の後ろに回り、
キツく結ばれていた縄をいとも簡単に
外してしまった。



「あ、ありがとう、ございます」


?「いいんだ…
  そんなに強く縛ってすまないね
  少し痣がついてしまった」


「い、いぃえ」


?「私は井上源三朗だ…源さんと呼んでくれ」



手を差し出してきた源さんに
私は何故か迷うこともせずに手を握り
返していた。
初めてあった人にこんなことなんて
一度もなかったのに…



源「君は…刀を…人を怖がっていたね…
  これから行く場所にはここの幹部が
  揃っているんだ…刀も持っている
  もちろん全員が男だ…大丈夫かい?」



この人は初めてあった私のことを
こんなにも理解してくれている…
どうして?
私はあんなにも怯えてしまったのに…





 
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