舞い散る桃蝶
ですが、桜姫様は…鬼の手によって…
消されてしまいましたっ
守れなかった!目の前で襲われていたのに
私は助けることすらできなかった!
私は…桜姫様を…勇桜を…
不幸にさせてしまった…
あのまま…安倍一族に殺されていた方が
よかったのに…
甘えてしまったから…桜姫様は…」
「っ、もういい!深呼吸してっ」
俺はいったん柚姫を落ち着かせ
深呼吸させ、背中をさする。
まだ少し呼吸の荒い、柚姫を抱え
俺は立ち上がった。
土「どこ行くきだ佐之」
「今日はもう勘弁してやってよ土方さん」
俺はその後は何も聞かずに
自分の部屋に戻ってきた。
布団を敷き、そこに柚姫を寝せてから
俺は水を取りに行った。
抱きかかえて気づいた。
震えもそうだが、別に冷えているわけじゃない
逆に身体が暑かった。
呼吸も幾ら整えても荒いまま、
よくこの身体でここまで来たと
褒めてやりたいぐらいだ…
この子の言っていた勇桜という子が
ちゃんとしてくれていたのか…
柚「ん…」
「起こしたか?」
柚「佐之介様…」
「佐之でいい…そんな堅苦しい呼び方は
しないでくれよ…あ、因みに敬語とかも
禁止だからな」