堕天使と呼ばれる女
聖羅は正直ギクッとした。

人助けをしようなんてつもりは、これっぽっちも無い…


ただ、無い物ねだりして騒いでいるヤツは気に入らない…


だから、時々、そういうヤツらに対しては、聖羅なりの制裁を加えてきた。


まさか、それを“人助け”と評されようとは、思いもよらなかった。


反論しない聖羅に対して、和也は続ける…


「昨日、公園で会った少年だって、事故の後に母親が必死の形相で駆けつけた事で、親子の間に話すキッカケが出来た。

 それによって、結果として和解する事が出来た。あの少年も、これで少しは素直な男の子に育つだろうな…

 聖羅はそれを見越して声をかけたんだろう?」


「そんなの、買い被りだよ!

 私がそんな事を狙ってた証拠はどこにも無いし、そもそも、私がそこまでする必要はどこにも無い!!」


「確かに、100%狙ってたわけじゃないかもしれない…

 でも聖羅は薄々、その結末を予想してただろ!?」


聖羅は反論出来なかった。

予想していなかったと言えば、嘘になるから…


少しの犠牲で、大事な物に気付けるなら、安いものだ…


聖羅はそういう風に考えて、ずっと行動してきた。

でも、全ての行為は聖羅にとって“制裁”であり、“人助け”だと言われるとは、思いもよらなかった…


「それって、結局は人助けだろ?

 俺らも助けてくれないか?」
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