堕天使と呼ばれる女
噂
「…噂?」
earthの噂なんて、そうそう出回るもんじゃない。
だって、earthは極秘組織。ベースを知らなきゃ、ネタだって出てきやしない。
聖羅が黙ったのを見計らって、和也は静かに話しを続けた。
「聖羅も“綾瀬総合病院”は知ってるよな?」
「私が産まれた病院でしょう!?」
「そう。聖羅が産まれた病院だ。
そこで、超能力者のDNA研究によって作り出した薬の、人体実験が行われているらしい…」
「はい!?」
「しかも、質が悪い事に、実験の対象者は子どもだ。」
聖羅は、ただ唖然としていた。
だって、有り得ない…
綾瀬総合病院は、地域でもかなり大きな病院だ。
全国各地の病院が医師不足などで診療科を閉鎖していく中、綾瀬総合病院は、地域の拠点病院として、救急救命、癌拠点、新生児センターなどなど、とにかくありとあらゆる拠点病院として機能している。
そこで、赤ちゃんや子どもを対象にして人体実験を行っているなんて、到底信じられる話では無い…
「だって、そんなことしてたら、問題になって騒ぎになるに決まってるじゃない…」
「それが全くならないんだよ…
一定条件を満たした場合にのみ使われるらしいからな。」