堕天使と呼ばれる女
顔色が悪くなった和也を見て、聖羅は納得したのか、再び口を開いた。

しかし、さっきとは全く違う調子で…

「ったく、どうしようもないのが転がり込んできたもんだね。

 とりあえず、“噂”とやらが真実か否か確かめるまでは、協力するって約束しちゃったから、しばらく一緒に行動してやるよ。

 感謝しなさいよね!!」


思ってもみなかった聖羅の言葉に、和也は安堵した。


聖羅には、自身の身を守る為、和也を組織へ突き出すという選択肢もあったのだ。

しかし、聖羅はそれを選択しなかった…


“堕天使”と言われるのは、単に組織を抜け出したから、それだけを形容して“堕ちた”と言われているだけで、やはり中身は“天使”なんだと和也は感じた。


組織にあれだけ長い年月、酷いことをされてきたというのに…


「俺なんか信じてもいいのか?」


「はぁ!?
 そんなの今更って話でしょう!!

 まあ、むしろ準備万端整えて来た方が、嘘っぽいからね。

 約束の期限までは、付き合ってやるよ。」


「ありがとう。」


そう言った和也に対して、聖羅は噛みついた。


「まだその台詞は早いね!完全協力を約束したわけじゃない。」


こうして、ここに密かな協力体制が作られた。
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