堕天使と呼ばれる女
「あの、どういう事ですか?」

聖羅に聞いても、的を得た答えが期待出来ないと判断した和也は、スミレに直接、質問した。


急に視線を合わせてきた和也に、スミレは少し驚いた表情を見せつつも、一度、聖羅と顔を合わせた後、口を開いた。


「ここは、一切の能力が使えない空間になっているの。

 あなたがお店に入ってきた時に感じた違和感は、そのせいよ。」

スミレはゆっくりと説明する。

「私の名前は、渡辺スミレ。
 昔は、組織に居たけれど、今は自由の身よ。」


「…えっ?
 自由ってどういう事ですか!?
 組織を抜けたのに、追われてないっていうんですか!?」


「ふふ…

 それは、おじいちゃんに秘密があるのよ☆」

妙に明るいテンションで、スミレは答えた。


和也の頭の中は、クエスチョンマークが飛び交う…


スミレの言葉には、聖羅が続いた…


「スミレさんのおじいさまは、earthの中心的な開発者だったの。

 今は、スミレさんと一緒に引退されているわ…」


そう和也に言ってから、聖羅はいつの間にか空にしたコーヒーカップをソーサーの上に戻しながら、続けた。


「スミレさん。
 今日はおじいさまにお会いしたいのですが、出来ますか?」
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