堕天使と呼ばれる女

「あなた、本当に何も知らないし、何も気付いていないのね!
 
 バカじゃない!?

 全部、全部、仕組まれてたに決まってるじゃない!!

 あなたがここに勤められたのも、今、この病院でのほほんと研究していられるのだって、病院が全て裏で手を回したからだっていうのに!!

 あなたは、知らず知らずのうちに組織のコマとして働かされてるのよ!!


 お、
 
 お弁当だって…
 
 毎回、毎回、おいしいって食べてたけど、本気で私が全部作ったと思ってたの!?


 ぐすっ、ぐすっ、本当にバカみたい!!」


直行にとって理解出来ないワードが、いくつか含まれていた。

しかし、地雷を踏んだのは明らかで、混乱しているさくらを落ち着かせるのが先決だ。


直行は、反射的に暴れるさくらを抱きしめた。


「やめて!!離して!!」

暴れるさくらを、直行は力強く、でも優しくずっと抱きしめていた。

そこら中の書類がばらまかれ、散乱したけれど、そんなことはお構いなしに、ただひたすら直行は、さくらが落ち着くで抱きしめていた。


そして、さくらは過呼吸を起こした。あまりに激しく泣き過ぎたせいで…

過呼吸が落ち着いた頃には、さくら自身もやっと落ち着きを取り戻した。


「ゆっくりでいいんだ…
 さくらの事が知りたい。
 自分の事も知りたい。

 何を聞いても驚かない。
 全てを教えてもらえるかい?」


少しの間の後、さくらは静かに答えた。

「はい。」


そして、直行はさくらから数々の衝撃的な内容を耳にする事になった。
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