堕天使と呼ばれる女



「もしかして、その少女というのが、私だと言うのですか!?」

しばしの沈黙の後、耐えきれなくなった聖羅は、すかさず教授にそう聞いた。


「そうじゃ。
 おまえさんじゃよ。

 わしのせいで、辛い実験をさせられているというのに、人を疑う事さえ知らないおまえさんは、皆に笑顔を振り撒いておった。無論、わしに対してとて例外では無い。

 いつしか、おまえさんの存在は、組織の花になっておった…

 そうなってくると、おまえさんを実験の槍玉に上げることを嫌がる者も出てくるようになってな…
 組織の内部で、徐々に分裂が始まったのじゃ。

 そうして、分裂を引き起こす存在と判断されたおまえさんは、完全に監禁され、監禁場所で採血とデータを採取されるだけの日々を送る事となり、段々と心は闇へと堕ちていくことになった…

 そうなる直前、わしはおまえさんの新たな能力を発見してしまったんだ。

 そして、それを具体化する事に成功した。」


そこで、居てもたってもいられずに立ち上がったのは、和也の方だった。

「もしかして、それが“無能力化”の能力だと言うのですか!?」
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