堕天使と呼ばれる女
「和也くんについての話を聞かせてくれる?」
「もちろんです!
薄っぺらいですが、聞いてください…」
笑顔で頷いたスミレに安心し、和也は今日この喫茶店に来るに至るまでの経緯を話し始めた。
事故で両親を亡くし、兄妹で施設に居た事
組織に連行された時の事
検査結果で妹の結果が高かった事
自分はその時に検査官の記憶をコントロールしたが、妹が救えなかった事
未だに妹はモルモットだという事
星羅に救いを求めた事
星羅に「浅はか過ぎる」と怒られた事
綾瀬総合病院にまつわる噂を検証するまで協力する約束をした事
「…!?
私や私の祖父…教授についての説明はされてないの?」
「はい…
教授からお聞きした内容も衝撃的でしたし、正直、今自分がどういう状況に置かれているかも、よく分かっていません。」
「そうだったの…
ふふ…
星羅ってイジワルねぇ…」
「スミレさんも負けていない気が…」
「…何か言った?」
スミレさんはちょっとウットリしていたらしく、和也のイヤミは届いていなかった。
「ちなみに、妹さんのお名前と年齢は?」
「沙也って言って、今18で、俺の7つ下です」
「結構、離れてるのね…」