堕天使と呼ばれる女
裏組織の更に下

夕焼けで影が長い…

星羅と和也が事実と向き合っているうちに、陽はすっかり傾いていた。

商店街の中を、男と女の影が、寄り添うように歩いている。


男は、ネギがはみ出ているエコバックを肩にかけ、女と熱心に話をしていた。


「そのアングラの人たちは、信用できるんですか!?」

「絶対!!
 …は無いわね。
 それは、どこの世界も同じ。

 ただ…」

「何ですか!?」

慌てている様子の男と違って、女はクスクス笑っている。

「みんな、星羅が恩人なの。」

「恩人?」

「そう。星羅って、なんだかんだ言って“お人好し”でしょ?

 組織にまだ居た頃、裏切り者を殺したと見せかけて、かなりの人数を生かしてきたの。

 もちろん、今まで生かされた奴の中に、星羅さえも裏切ったバカは、多く居た…

 でも、そういう奴らは組織に改めて殺されたか、アングラの怒りを買って、抹殺された…

 星羅が組織を離れてもう4年。

 どちらも裏切ったバカたちはもう生きてないわ。

 今でも生き残っているのは、アホなくらい星羅が大好きな人たちばかりよ。」

説明していたスミレは、決して笑顔を絶やさなかった。

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