淫魔の恋のその行方
しかし。



「媚薬?そんなもの、最初の一回だけよ」



何を今更、とでもいうように彼女が笑う。


――最初だけ?


俺は首をかしげた。



「そう、最初だけよ。貴方と初めて出会った時は、キスのせいで恐ろしいほどの快感に襲われたわ。でもね」


彼女が柔らかく微笑む。


「二回目からは違ったの。そんな強い快感はなくて、むしろ幸福感の方が大きかった。そして、私は思ったの。これが、好きってことなんだって……」
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