渡せなかったラブレター
追ってしまう影
少しも忘れられないまま
章弘のことは
封印の道を
辿ろうとしていた

めったに見かけない
見かけても話さない
話せない

胸の底に
初恋として
しまってしまえ

どこかでそう
呪文でもかけたのか
自分をうまく
ごまかすことができていた


2年生になって
クラス替えをしても
章弘と
同じクラスには
ならなかった

ほんと
うまくできている


今思えば
あの時
同じクラスになっていたら
どうなっていたんだろう

また違う風に
変わっていたんだろうか


章弘の評判は
よくなることがなかった


だけど

あたしはどこかで
信じてたんだ

章弘は
根っこまで腐ったりしない

芯の通った
孤高の一匹狼

その誇りは
忘れたりしない

それは
まったく
根拠のない自信だった


だけど


いつも不思議と
あたしの根拠のない自信は
当たるんだ







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