渡せなかったラブレター
先生の足音は
消えていき
章弘が「はぁ」と
息をついて
緊張の糸を解いた
この状況に
混乱しすぎたあたしは
何も言えずに
何もできずに
ただ
目を泳がせていた
「来ると思った」
章弘が静かに口を開いた
あたしが顔を上げると
そこには
不敵に笑う
章弘がいた
あたしの行動は
読まれていたのだ
「で、なんやねんその上靴は」
章弘は声を殺して
笑った
「はよ履けって」
「なんで?」
「なにが?」
「なんで分かったん?」
「なんでって、教室におったの見たから」
「…それだけ?」
「それだけ」
「それじゃ分からんやろ」
「いや、気づいて追ってくると思った」
この人にも
根拠のない自信が
あるようだ
横並びに
座りなおしてからも
ひそひそ話みたいな
会話は続いた
「しゃべるん久しぶりやなぁ」
「うん」
「あ、寒いか?」
「いや、大丈夫」
「そーか」
これはタイムスリップか
もしくは
フラッシュバックか
夢を見ているようだ
奇跡みたいな
出来事が
あたしの目の前に
あった
消えていき
章弘が「はぁ」と
息をついて
緊張の糸を解いた
この状況に
混乱しすぎたあたしは
何も言えずに
何もできずに
ただ
目を泳がせていた
「来ると思った」
章弘が静かに口を開いた
あたしが顔を上げると
そこには
不敵に笑う
章弘がいた
あたしの行動は
読まれていたのだ
「で、なんやねんその上靴は」
章弘は声を殺して
笑った
「はよ履けって」
「なんで?」
「なにが?」
「なんで分かったん?」
「なんでって、教室におったの見たから」
「…それだけ?」
「それだけ」
「それじゃ分からんやろ」
「いや、気づいて追ってくると思った」
この人にも
根拠のない自信が
あるようだ
横並びに
座りなおしてからも
ひそひそ話みたいな
会話は続いた
「しゃべるん久しぶりやなぁ」
「うん」
「あ、寒いか?」
「いや、大丈夫」
「そーか」
これはタイムスリップか
もしくは
フラッシュバックか
夢を見ているようだ
奇跡みたいな
出来事が
あたしの目の前に
あった