渡せなかったラブレター
夏休みが始まって
すぐの出来事だった
章弘が死んだ
たまたま自転車で
章弘の家の前を
通った時のこと
悪いウワサで
よく聞くような子達が
数人章弘の家の前に
群がっていた
一人
知っている子がいたから
何気なく声をかけてみた
「どうしたん?」
「あぁ、紗世。西田君が…」
「何?」
「…事故で死んだねん」
死んだ?
章弘が?
体中の何もかもが
一瞬で
その役割を果たさなくなって
頭から指先まで
冷たくなっていくのだけが
分かった
すぐの出来事だった
章弘が死んだ
たまたま自転車で
章弘の家の前を
通った時のこと
悪いウワサで
よく聞くような子達が
数人章弘の家の前に
群がっていた
一人
知っている子がいたから
何気なく声をかけてみた
「どうしたん?」
「あぁ、紗世。西田君が…」
「何?」
「…事故で死んだねん」
死んだ?
章弘が?
体中の何もかもが
一瞬で
その役割を果たさなくなって
頭から指先まで
冷たくなっていくのだけが
分かった