これから、わたしは太陽を食べます


が。


「あら、どーも」


「……え」


夜、彼の部屋から出てきた女は一一下照比売。


大国主の娘だ。


乱れた髪の毛を直しながら廊下に出た彼女と、灯りを消しに来たわたしとで、目が合ってしまった。


「ふうん、あんたが鬼なの。にしてはずいぶん可愛らしいけれどねぇ」


汗と、強い芳香の香り。


むせそうになる中、私は自己紹介を思い出した。


「あー、うん。一応鬼だけど…今これ、変幻してるんだ」


「変幻?鬼が?変わってるねぇあんた」


「鬼にもいろいろあるんだよ。……それよりあんた、天稚彦を」


「ああ、指示通り骨抜きにしてやったわ」


クラりと眩暈がした。
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