これから、わたしは太陽を食べます
□□□



翌朝。


そそくさと出かける準備をしている彼を見つけ、声をかけた。


「おはようございます、どちらにお出かけに?」


「ああ、ちょっと町にね。人間の暮らしを見てみたくって」


ふふ、と爽やかに笑う彼。


「……あの、」

「なんだい?」

「……いえ、」


下照比売によると。

彼女の術とはただ単に酔わせるだけらしく、翌朝には何があったか覚えていないらしい。

ただ酒と同じく中毒性があり、徐々に彼の体にその術は浸透していく。

次第に術がききやすくなり、やがて、夜は彼女の思うがままにさせることができるという。

要するに、素戔鳴尊は遠巻きに彼を操りたかったのだ。

孫を使って、姉に一矢報いたいとでも言うのか。



< 14 / 59 >

この作品をシェア

pagetop