これから、わたしは太陽を食べます
結局、大国主は二つ返事で了承してしまい、わたしは天稚彦と出かけることになった。
「……」
着ていく服がない。
しかたないので周りの屋敷に仕えてる童女と同じ着物で行けば、怒られた。
「里ちゃん、君はそれしか着物がないのかい?」
当たり前だろう。
屋敷に仕えてるふりをするために変幻をしてるのだから、着物だって1着しかなくて当然だ。
「申し訳ございません、これしかなくって…」
俯いていると、彼はわたしのあごを掴んで上を向かせた。
色の白い、驚くほど整った顔に見つめられる。
澄んだ黒い瞳から、目が離せない。
私の化けてないときの緑色の目とは大違いの美しさだ。
どきり、心臓が鷲掴みにされたように、窮屈になる。
「うん、やっぱり君はすごく綺麗だ」
「え、」
「もったいないよ。女の子は綺麗な格好をしないと、せっかく美しいのに」
顔が、熱くなる。
「や、あの、き、」
この醜い変幻のどこが綺麗なのだろうか。