これから、わたしは太陽を食べます






「里、さと」


奉公の子供に化けたわたしを呼ぶ声。


振り返れば、屋敷の主一一大国主。


「……なに、」


「いや、なにね。わ、私も天津神(天上にいる神)を敵に回したことがないから、その、ふ、不安で」


気の小さい男である。

がたがた震え、常時剣を腰に指している。

寝所にまで持ち込んでるのを知って、幻滅した。



「あんたさぁー、素戔鳴尊を騙して逃げてきたんでしょ?そのタマどこ行ったの?」


こいつは素戔鳴尊の髪を木に縛り付けて、根の国から嫁と脱出した男だ。


「あいつ自体は嫌いだ。あいつの立ち位置は好きだ」と、完全に葦原の中津国しか興味の無いあいつは、さんざん義理の息子を愚痴ってた。


「あ、あれは若かったし…」


だとしてもだ。

その怯えようは、少々目に余る。

< 7 / 59 >

この作品をシェア

pagetop