俺たちの妹・3
『みぃ、俺を見てごらん?』

俺の言葉にゆっくりと顔を上げた美晴。

『痛いの嫌だよな……でも、ギュってしてるともっと痛いんだって。だから、力抜いてみようか』

俺の言葉に目をウルウルさせ始めた美晴。

『っっ‼︎ ……じゃ、じゃぁさ今度退院したら、どこに行きたい?』

俺は、宮本さんと対面に座り直し、美晴からは宮本さんが見えない様にして、話し始めた。

『ん〜っとね……』

美晴の意識が点滴から逸れた事により、身体に入っていた力が抜けた。

そこを見逃さないのが宮本さん。

美晴の腕に、点滴を刺して固定する。

『ミ○キーがいい』

処置を見ていた俺は、突然の美晴のミッキー発言に驚いた。

『ミ○キー?』

『うん、あいたい。ギューってしてほしい』

美晴からのまさかの場所に驚いた。

『きのう、テレビでみんなギューってしてもらってた。みぃもギューってしてほしい』

どうもテレビで流れていたみたいだ。

『わかった。森先生と相談してからな』

『ほんと?もりせんせいにきいてみる』

『あ、みぃちゃん、チックンしてるから、ゆっくり動くのよ』

『え?……おわったの?』

どうやら、点滴されている事に気付いてなかった様だ。

『んふふ、みぃちゃんと日向くんがお話してる間に終わったよ。痛くなかった?』

『いたくなかった……』

そう言いながら、点滴に繋がれる腕を見つめる美晴。
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