俺たちの妹・3
授業を終えて、病院へ向かう。

『あ、日向くんいい所に来てくれた』

病室までの廊下を歩いていると、森先生と出会った。

『美晴がどうかしましたか?』

『そろそろ検査したいなと思ってたからグッドタイミング。みぃちゃんは相変わらずお利口さんだよ』

『ご迷惑掛けてなければ安心です』

『みぃちゃんのワガママなんて可愛いもんだよ』

そう言って笑う森先生の言う事がこの時は分からなかったけど、仕事を始めてみて共感出来たんだよな……



『美晴、ただいま』

『ひなにぃおかえり』

にっこり出迎えてくれた美晴は、ご機嫌みたいだ。

『みぃちゃん、ご機嫌のところ悪いけど、そろそろ検査行こうか。日向くんも一緒に行けるから』

森先生の言葉を聞いて、俺の腕にしがみついた美晴。

その様子を見て、苦笑いをする森先生。

『日向くん、みぃちゃんと一緒に来てね』

『分かりました。美晴、ほら俺も一緒に行くから大丈夫。ね?』

俺の顔をじっと見上げて、不安そうに瞳を揺らす。

『大丈夫。いつも、森先生優しいだろ?』

なんとか美晴を慰めながら診察室へ行く。


診察室についても、俺からなかなか離れない美晴。

『みぃ?何が嫌なの?教えて?』

『…………いたいのも、ひとりもいや』

美晴は少し遠慮ぎみに小さい声を発した。
< 109 / 429 >

この作品をシェア

pagetop