俺たちの妹・3

葵side…

今日はみぃの検診の日だ。

退院してから、体調が安定するまで週一回の検診のになっていた。

検診が終わったらすぐに帰ることを約束して、病院で別れた。



回診が終わって、医局に戻る途中にいつものプレイルームの前を通る。

子ども達の楽しそうな賑やかな声が聞こえてきて、それだけで、元気をもらえたりするんだ。

今日も聞こえてくる声に耳を傾ける。




ん?あれ?

あまり聞こえない……

いつもと違う事に驚いて、プレイルームを覗き見る。

そこには見知った顔があった。


「みぃ?」

思わず声を掛けていた。

「検診終わったんでしょ?どうしてここに居てるの?」

検診が終わったら帰ってるはずだ。

「もー、たにぐちせんせい。おはなしのじゃましちゃやだー」

舞ちゃんの言葉で、子ども達の楽しみを邪魔してしまったとわかった。

「え、いや、舞ちゃん。今日はお姉ちゃん来ない日なんだよ」

「でも、きてくれてるもん。おはなししてくれてるもん」

舞ちゃんもなかなか手怖いな、

「じゃぁ、この一冊だけいいか、舞ちゃん、お願いしてくれる?」

みぃは、子どもを使って俺に許可を取ろうとしている。


「うん、たにぐちせんせい。このおはなしでおわりだからよんでもらってもいい?」

だけど、子どもにおねだりされたら、断れないよ。

悪いことしてないし……楽しみにしてるみたいだし……

「…………後一冊だけだよ」

仕方なく許可を出した。

「はぁい」

元気よく答えた舞ちゃんは嬉しそうだ。

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