俺たちの妹・3
「新の症状はいつからですか?」

葵は、問診票に目を通してから俺たちに聞いてきた。

「今日1日かわりなく過ごしていたんだけど、寝かしつけるときに少し体が熱いかなとは思ったの。でも眠たいのもあるだろうし、その時は熱は計ってないの。新が寝てから、彼方に診てもらったら、熱が37.8度だったみたいで……」

「分かりました。……新、ちょっともしもしさせてね。出来るかな?」

彩の言葉に頷いたあと、新に優しく声をかけ始めた葵。

「……もしもしだけ?」

「お口あーんもだよ。大丈夫、痛いことはしないよ」

「わかった」

「よし、じゃぁお洋服めくるね」

新がきちんと納得するまで、診察を始めなかった葵。

小児科としてのスキルをきちんと磨いてるな。

診察を進める間も、新に声をかけたりする葵に、あらたの緊張もすっかりほぐれたみたいだった。

「今、幼稚園で何か流行ってますか?」

「風邪でお休みしてる子が何人かいてるみたい」

「そうですか……多分幼稚園でもらってきてると思います。風邪ですね。でも熱が少し高いので、解熱剤を、出しておきます。これ以上上がるようなら、飲ませてあげてください。その判断は、かな兄や彩さんの方が詳しいと思うので……大丈夫ですよね?」

「はは、葵大丈夫だよ。それにしても流石葵だな。医者の顔が板についてきてるよ」

「かな兄にそう言われると嬉しいな。」

葵はハニカミながらほっぺたを掻いていた。
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