俺たちの妹・3
「葵、今日は休め」
「……でも」
「でもじゃないっ‼︎ こんな顔色して、患者さんの前に立つつもりか?」
朝から酷い顔色で起きてきた葵。
俺たちの心配が見事に的中したんだ……
「……ちょっと怠いだけだから」
なかなか引かない葵。
研修医の身だし、休みたくない気持ちは、分からなくもないけどな……
「………とりあえず、熱測ろう」
そう言って、体温計を渡すと、しぶしぶ測り始めた。
ピピ、ピピ、ピピ
37.3……
「葵、ギリギリ行けるラインだな……でもこれ以上上がると良くないよ。昼にもう一度検温して、38.5度越えてたら、帰ること」
「……………わかった」
葵は、しぶしぶながらも承諾した。
そう言えば、俺も昔、兄貴に同じ条件言われたな……
思わず苦笑いする。
きっと兄貴も同じ気持ちだったんだろうな……
朝食を食べたくないと言う葵に、無理やり飲み物だけは飲ませて、出勤した。
「小林先生に伝えておくからな」
「………分かった」
葵は、肩を落としながら、病院へ向かった。