俺たちの妹・3
カチャリ……

インターホンは敢えて鳴らさず、鍵を開ける。


「「お邪魔しまーす」」

二人で小声になりながらも挨拶をする。

リビングへ向かうも、誰もいなくて葵はすぐに寝室へ向かった。

「みぃはリビングで待ってて」

そう念を押されたから頷くしかなかった。

冬に突入したこの時期、インフルエンザの可能性もあるし、仕方ないか……


桜が準備しておいてくれた看病セットを見る。

流石看護師なだけあって、漏れがない。

葵が戻ってきてから何が必要か聞こうっと。


 

しばらくすると、葵が戻ってきた。

「司さん、結構熱高いんだ。下がるといいんだけど、下がらなかったら病院行った方がいいかも……。この季節インフルエンザもあり得るし……その場合は早く薬飲んだ方が軽く済むし……司さんの目が覚めたら体調聞いてみるよ。みぃはそれまでは寝室入っちゃダメだよ」

「分かった。葵もマスクしてね」

「分かった」

体力ある人でもインフルエンザに掛かると辛いって聞く。

私の場合、人より重症化することが多いから、周りの皆が神経質になる……

いつもお世話になってる人の看病が出来ないのは悔しいけど、それで私が体調を崩す方が迷惑だって分かってるから、無理はしない。

でも、役に立ちたいから、出来ることはしたい。

自分の気持ちと伴う行動が出来なくて切なくなる。

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