俺たちの妹・3
葵を見送った俺は、まだ一仕事残っている。

美晴に「今日は葵は来れない」と告げなければ行けない……

美晴はきっと自分を責めるだろうな……

今から起こる事が手に取るように分かる……



「美晴、入るよ」

そっとドアを開けると、体を起こした美晴がいた。

「ひな兄‼︎来てくれてありがとう」

にっこり笑う美晴はどことなく寂しそうだった。


「美晴、今日は葵来れないんだ…」

「…………え?……ど、して?」

俺の言葉を聞いて酷く動揺した美晴。

「うん、色々頑張り過ぎたみたい」

「……………うそ…………わ、たしのせいだ……私が入院なんてしてるからっ」

「美晴、落ち着いて。みぃのせいじゃない」

「ううん、私のせいなの。私が寂しいって言ったから。だから私のせいなのっ」

「美晴……」

「やだハァ………ど、しよハァ………私のせいだハァ……」

美晴の動揺はなかなか治らない。

「美晴、一旦落ち着こう。ほら深呼吸してごらん」

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……」

深呼吸を促すものの、動揺から息が震えて上手く出来ない。

「美晴、大丈夫だから。明日には葵来れるから。今日1日だけ休憩」

「……今日ハァ、だけ?」

「そう今日だけ」

「すぐハァ、治る?」

「もちろん」

「よかった……」

美晴にとって葵は、精神安定剤だった。
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