俺たちの妹・3
「あら、由奈さんありがとう。あ、このケーキ屋さん駅前に新しく出来たところよね?食べてみたかったの。嬉しいわ」

「はい、喜んで頂けて嬉しいです」

「さぁさぁ、挨拶はその辺にして、みんな座りなさい」

父さんの言葉にみんなソファーに腰かけた。

「由奈さんは、うちのしきたりみたいなのは日向から聞いてるかな?」

早速父さんが由奈に尋ねる。

「はい、聞いています。仕事はどこでも出来ますし、みぃちゃんの担当じゃなくなるのは残念ですけど……」

思わず零れた由奈の本音。

「父さん、それについてなんだけど…」

「なんだい?」

「今、由奈は美晴の入院の時に担当してくれている看護師なんだ。俺としてはなんだけど……」

ずっと提案したかった事なんだけど、目の前の父さんを見ると、少し迷ってしまう。

「いいのよ、日向の意見を言いなさい」

母さんに促されてまた話す決意をする。

「由奈はこのまま今の職場で仕事を続けて欲しいと思ってる。病院の中で信頼している人がいなくなるのは美晴にも負担があると思うから……」

「……成る程。美晴の気持ちと体調は、大事だな…」

あれ……案外通るかも知れないぞ…

「パパ……」

美晴も何か思うことがあるもんな……

「お家の決まりごとは知ってるんだけどね……」

「言ってごらん?」

父さんも美晴からの話につい優しい声になってる。
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