俺たちの妹・3
「ただいまー」

仕事を終えて家に帰る。

「葵、おかえり」

キッチンから、ひょっこり顔を出したみぃ。

「何作ってるの?」

キッチンを覗くと

「今日はポトフにしようと思ってて」

お鍋に入った具材をコトコト煮ているところだった様だ。

「美味そ」

「ふふ、もう少し待ってね」



一度自分の部屋に戻って部屋着に着替えてリビングに戻って、ダイニングテーブルの椅子に座ると、珈琲を出してくれたみぃ。

みぃは、ミルクティを持って椅子に座った。

時間が出来ると二人で話をする事が日課になっていた。

「今日さ、久しぶりに楓と仁と話したんだ」

「そうだったんだ。二人とも元気にしてた?」

「うん、相変わらずだったよ」

「ふふ。学生の頃に戻った気分になるよね」

他愛もない会話をして、みぃとゆっくりと過ごす。

俺のリラックス出来る時間のは一つだ。

そんな穏やかな時間を過ごせるのもきっとみぃと一緒に過ごしてるからなんだろうな。

「二人とも、専門にしたい科の目星はつけてるみたいだったよ」

「そうなんだね。葵は決まりそう?」

みぃは、俺が色々と悩んでいたことも知っているから。

「あぁ。二人と話してて、決めれそうだよ。小児科にしようと思う」

みぃは、俺の言葉を聞いて、微笑んだ。

「ふふ。葵は小児科を選ぶ気がしてた。かな兄と同じ道を辿るんだね」

「そうなの?だったら言ってくれれば良かったのに」

「私が言ったら葵、その通りにしちゃうでしょ?それじゃぁ意味がないじゃない。」

「まぁ、確かにそうだな。みぃの助言は聞いといて損はないから、悩まずにその通りにしちゃうかもだな」

「大事な選択をする時はしっかり悩まないとね」

ほんと大人な意見のみぃには頭が上がらないな……

「やりたい事が見つかって良かったね」

「そうだね。じっくり悩んだお陰で自分が何をしたいのか見つけられた気がするよ」

医者として、社会人として、一歩踏み出した瞬間だった。
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