俺たちの妹・3
準備はすぐに終わり、ソファに座って連絡を待つ。

ピンポーン

「わっ!!」

突然インターホンが鳴り驚く。

「美晴様、タクシーが到着致しました」

「あ、わかりました。すぐ行きます」

インターホン先に居たのは中原さんだった。

エレベーターに乗り込みエントランスへ向かう。

「美晴様、こちらです」

「あ、ありがとうございます」

「お気をつけて行ってらっしゃいませ」

タクシーに乗り込むのを手伝ってくれて、見送ってくれた。

優しい存在に心が温かくなる。

「総合病院までお願いします」

「わかりました」

行き先を伝えるとタクシーは動き出した。


暫く乗っていると見えてきた総合病院。


「着きました」

「ありがとうございます」

お金を払ってタクシーを降りると葵がいた。

「葵……お仕事中にごめんね。待っててくれたの?」

「大丈夫だよ。連絡くれたのが嬉しかったから時間見て迎えにきただけだよ」

なんてこと無い様に言う葵だけど、お仕事しながら時間見て抜けるなんて、周りの人にも迷惑掛けちゃった。

「先輩の先生にも看護師さんにも了承得てるから大丈夫。みぃは何も心配しなくていいよ」

そう言いながら私の手を引き、病院の中へ進む葵。

ケホッケホッ

まただ……

「その咳だね?」
 
「うん。いつもは吸入したら落ち着くのに……」

「おかしいと思えることが大事だよ」

葵は私の頭をポンポンとしてくれた。
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