俺たちの妹・3
そう言うと、葵は困った顔をした。

「葵くん、みぃちゃんを、お願いね」

「勿論です」

ママの言葉に頷いた葵。

暫くすると控室に、親族が集まり始めた。

「みぃちゃん、久しぶり。今日も変らず可愛いわね」

朱里ちゃんが声をかけてくれた。

「朱里ちゃんお久しぶりです。朱里ちゃんも、綺麗だよ」

少し、朱里ちゃんと談笑していると、親戚のおば様が声をかけてきた。

「まぁ、美晴ちゃん立派になって。今日は日向くんの結婚おめでとうございます」

「おば様。今日は来て頂いてありがとうございます」

「今日はお式に出られそうで良かったわね。実のお兄様の結婚式ですもの。出席くらいしないとねぇ」

あ、この人は私の体の事をよく思っていない。

「そうですね。兄のお祝い事ですものね」

私とおば様のやり取りを聞いて、葵は怪訝な表情を浮かべているだろうな……

「朱里さん、なんかみぃ、イヤミ言われてないですか?」

「あの方はみぃちゃん一家が成功してるのを、羨ましく思っているのよ」

私の後ろで葵と朱里ちゃんが小声で話している。

お正月に会って以来だけど、二人はいつの間にか仲良くなっていたみたい。

「大丈夫よ。行き過ぎた行為は直ぐに止められるから」

朱里ちゃんの言葉が小さく聞こえた。



「日向くんもようやく貴方から離れられるのね」

「……そうかも知れないですね……」

私が肯定の答えを返すと同時に

「うちの美晴が何か致しましたか?」

パパがやって来た。

「あっあら圭吾さん。こ、この度はおめでとうございます。彼方くんも日向くんもご結婚されて安心ですね」

「ありがとうございます。うちの子達は人当たりが良い様で美晴も含めて心配はしてないですよ」

パパの冷たい微笑みに顔を強張らせたおば様。

「そ、れでは失礼致します」

と、そそくさと側を離れて行った。
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