俺たちの妹・3
「サプライズだね」

「うん、由奈さんのお母さんビックリしてたもんね」

由奈さんもお母さんもすごく嬉しそうだった。

由奈さんが中座してから、ひな兄の周りには沢山の人がワラワラ集まっている。

その中には、樹さんや大和さんがいた。

「幸せになれよー」

「俺も早く彼女ほしー」

なんて言葉も聞こえてきて、会場は笑い声に包まれた。

「みぃちゃん、葵くん」

突然声を掛けられて声がした方を見ると、さっき中座した由奈さんのお母さんとお父さんがいた。

「この度はご結婚おめでとうございます」

みぃが卒なく言葉を繋げる。

俺もそれに合わせて

「おめでとうございます」

と続いた。

「ありがとう。みぃちゃんもお兄さんの結婚おめでとう。由奈とも仲良くしてくれている様で本当に感謝するよ」

「あ、いえ。私の方こそ由奈さんに本当に良くしてもらっていて……兄も私もお世話になってるんです」

みぃの言葉の中には、普段の生活の他に病院での事も含まれていた。

「就職してから、由奈は忙しそうだけど、楽しそうでね。帰ってきた時には色んな話を聞かせてくれるのよ。みぃちゃんの話も良く聞いていたわ」

「私の話もですか?」

「そうよ。最初の頃はね、警戒されてるって言ってたわ」

「あ……」

「ふふ。心当たりありそうね。でも由奈は楽しそうだったわよ。みぃちゃんと少しずつ仲良くなれて頑張って良かったって言ってたわ」

「そんな事……」

みぃは由奈さんのお母さんの言葉を聞いて涙ぐんでしまった。

きっと思い出したんだろうな。

不安な日々の入院生活の中での由奈さんとのやり取りを……

「あらあら。ごめんなさい。泣かせるつもりはなかったのよ。ただ、私達もみぃちゃんと葵くんとお話してみたかったの」

「俺もですか?」

俺の名前が出てきて驚いた。
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