俺たちの妹・3
診察の準備を進めていくうちに頭が冷静になってくる。

「あ、かな兄。彩さんと新は?」

かな兄と一緒にいた二人の存在を思い出した。

「大丈夫、母さん達と一緒に先に帰ったから」

「急に連絡したからだよね。ごめん」

「何言ってるんだよ。頼ってくれて俺は嬉しかったよ」

かな兄一家はやっぱり優しい。

「さて、診察準備出来たかな?」

「はい」

「じゃ、早く診断してあげよう。みぃが辛いだけだし」

「はい。みぃ、診察始めるね」

そう声をかけてからシャツワンピースのボタンを外す。

聴診器を温めてから、慎重に音を聞く。

朝は特に音が悪いとかはなかったけど……

今は少し喘鳴が聞こえる……

「顔を触るよ」

そう声を掛けて、首元のリンパを触ってから、下瞼を下ろすと真っ白だった。

貧血も出て来てる。

「うーん…朝は大丈夫だったんだよな?」

かな兄に聞かれて頷く。

朝も同じ診察をしたけど、気になるところはなかった。

「葵、俺でも同じ判断すると思う。だから気にするな。みぃも式の間は、楽しそうだったし。ちゃんと出席出来て最後まで居れて嬉しかったと思うよ」

でも……終わってから体調崩しちゃうのはみぃが辛いだけだよ。

「ここじゃ出来る事限られてるし、とりあえず病院行こうか」

「うん」

俺達は、病院に向かった。
< 395 / 429 >

この作品をシェア

pagetop